大分県の名物料理として親しまれている「とり天」。にんにくやしょうがで下味をつけた柔らかい鶏肉に、サクサクの天ぷら衣をまとわせ、油で揚げることで生まれるその独特の食感と風味は、多くの人々に愛されています。しかし、とり天は見た目の美味しさだけでなく、カロリーや糖質といった栄養成分にも注目が必要な料理です。今回は、とり天のカロリーと糖質について、具体的な計算例や材料ごとの詳細をもとに紹介していきます。
とり天とは?その魅力と特徴
とり天は、鶏むね肉(特に胸肉)が主な材料として使用されることが多く、余分な脂肪分を抑えながらも、天ぷら衣をつけることでジューシーさとカリッとした食感を楽しめる日本の揚げ物です。シンプルな味付けで大根おろしや小ねぎをトッピングすれば、あっさりといただけるため、単品の一品料理としてだけでなく、丼ぶりやうどん、そばといった和食の料理にも良く合います。しかし、調理方法からして油を使用するため、高カロリー・高糖質になりがちという点は、栄養面で注意が必要となります。
とり天のカロリーについて
とり天のカロリーを理解するために、まずは材料ごとのカロリーをみていきましょう。ここでは、一般的なレシピ例として「鶏むね肉1枚(とり胸肉1枚:200g)を基にしたとり天」の場合を考えます。
材料ごとのカロリー内訳
下記の表は、とり天1枚分(とり胸肉1枚)に対して使用する材料と、そのカロリーをまとめたものです。
材料 | 使用量 | カロリー |
---|---|---|
とり胸肉1枚 | 200g | 290kcal |
にんにく | 1g | 2kcal |
塩 | 1g | 0kcal |
酒 | 10g | 11kcal |
しょうゆ | 6g | 5kcal |
天ぷら粉 | 36g | 126kcal |
油(吸油率18%換算) | 36g | 332kcal |
合計 | 765kcal |
このように、とり天1枚分ではおよそ765kcalになります。胸肉自体は脂質が少なく低カロリーな部位ですが、天ぷら粉をまとわせ、さらに油で揚げることで全体のカロリーが大幅にアップしています。
1個あたりのカロリー計算
一般的に、とり天1枚の鶏胸肉は約4等分され、1個あたりの重さは約70gとなります。これにより、1個あたりのカロリーは次のように計算されます。
765kcal ÷ 4 = 約191kcal
つまり、1個で約200kcal近くなるため、量を食べるとカロリー摂取量も無視できません。特にダイエット中の方やカロリー管理を気にしている方は、摂取量に注意する必要があります。
とり天の糖質について
とり天の糖質も、カロリー同様に気になるポイントです。糖質の計算は「糖質=炭水化物-食物繊維」で求められるため、各材料の成分を把握することが大切です。
糖質の主な要因:天ぷら粉の役割
とり天の主材料であるとり胸肉には、ほとんど糖質は含まれていません。しかし、天ぷら粉が糖質の主要な源となっており、1枚分のとり天において、糖質は全体で約28gとなっています。これは天ぷら衣が持つ特性によるもので、外はカリっと仕上げながらも、糖質の摂取量に注意が必要となる理由です。
1枚あたりと1個あたりの糖質量
1枚分のとり天全体としては糖質28gですが、前述の通りこれを4等分すると、1個あたりの糖質は約7gとなります。個々のとり天自体はそれほど糖質が多いわけではありませんが、うどんやそばなどに入っている場合、複数個のとり天が用いられることが多く、結果として一食あたりで20g前後の糖質を摂取する可能性があります。糖質制限中の方は、全体のバランスを考えて摂取量を調整することが求められます。
市販のとり天の栄養成分
とり天は、家庭で作る以外にも、コンビニやうどん店などで手軽に購入できます。市販品の場合、1個あたりのカロリーは100~150kcal程度とされ、炭水化物の量も10g前後といった数値が確認されています。市販のとり天は単体で食べても高カロリーなだけでなく、定食メニューとして提供される場合には、ご飯やタレなども含めると、一食あたりで1000kcal前後に達することもあるため、注意が必要です。
とり天を使った料理のカロリー
とり天は単品として味わうだけでなく、さまざまな料理に取り入れられるため、そのメニューごとにカロリーを理解することが大切です。ここでは、いくつかの代表的なとり天を用いた料理のカロリーについて紹介します。
とり天そば
とり天そばは、そばのスープや麺自体のカロリーに加え、とり天2個分が使用されていることが多いです。1杯あたりのカロリーは約689kcalとされ、ボリュームを楽しみながらも、カロリーコントロールが必要な料理と言えます。
とり天うどん
とり天うどんの場合、そばと同様に麺類が主体となるため、1杯あたりのカロリーは約699kcal程度。とり天2個分のカロリーに加え、うどんの炭水化物や具材、出汁などによって総カロリーはさらに増加します。
とり天丼
とり天丼は、さらにボリュームがアップします。ごはんやタレが加わるため、1食あたりのカロリーは約1028kcalとなります。料理に入っているとり天の個数が3個前後の場合もあり、カロリーだけでなく塩分や糖質にも注意が必要です。
とり天のカロリー・糖質対策の工夫
とり天は、その美味しさと食べ応えから人気がありますが、カロリーや糖質が高くなりがちな料理でもあります。ここでは、よりヘルシーにとり天を楽しむための工夫をいくつかご紹介します。
肉の部位の工夫
とり天には一般的にとり胸肉が使用されますが、さらにカロリーを抑えるためには皮なしの胸肉を選ぶと効果的です。鶏むね肉は、皮ありと皮なしで100gあたりで約30kcal程度の差があります。皮なしの胸肉を使用することで、脂質やカロリーをさらに抑えることができます。また、とりもも肉は脂質が多いため、むね肉を使う方が全体的に低カロリーに仕上がります。
調理法の工夫:油で揚げる以外の方法
とり天は油で揚げることでカリッとした仕上がりを楽しめますが、油を多く使用するためカロリーが高くなる一因となっています。そこで、オーブンで焼くといった調理法を取り入れることで、油の使用量を減らし、カロリーオフを図る方法があります。オーブン調理により、鶏肉自体はジューシーさが保たれつつ、表面はカリっとした食感に仕上げる工夫も可能です。
天ぷら粉の工夫で糖質をカット
とり天の糖質は、主に天ぷら粉に由来しています。そこで、糖質が少ない天ぷら粉や、グルテンフリーの天ぷら粉、さらには糖質45%OFFなどの低糖質タイプの天ぷら衣を利用することで、全体の糖質量を半分程度に抑えることも可能です。おからパウダーを使用するレシピもあり、これによってさらにヘルシーに仕上げる工夫が注目されています。
まとめ
とり天は大分名物の魅力的な揚げ物ですが、その美味しさの裏側にはカロリーや糖質が高いという特徴があります。鶏むね肉自体は低カロリーながらも、天ぷら粉と油での調理が加わることで、1枚あたり約765kcal、1個あたり約191~200kcal、さらに糖質も1枚で約28g、1個あたりは約7gという数値に上ります。市販のとり天や、とり天を使った麺類、丼ものなどの場合、さらに多くのカロリーや糖質が摂取されるため、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
また、肉の部位を皮なしの胸肉に変えたり、オーブンで調理するなどの工夫により、カロリーオフや糖質カットが可能となります。さらに、天ぷら粉を低糖質なものに変更することで、より健康的にとり天を楽しむことができます。これらの工夫を取り入れつつ、とり天の美味しさを味わいながら、栄養バランスを意識した食事に役立ててみてください。
健康に配慮しながらも、地域の伝統を守るとり天。美味しさと栄養成分のバランスを理解することで、日常の食卓に適した取り入れ方が見えてくるはずです。この記事が、とり天を楽しむ上での栄養面の理解と、健康的な食生活の参考になれば幸いです。